

清水醸造の現在の当主は、六代目の清水慎一郎氏。今回ご紹介する『胡蝶の夢』を仕込み始めた1976年(昭和51年)当時は、先代の五代目、清水陽一氏でした。「鈴鹿の酒の名を全国に轟かせたい。お客様に感動を伝える酒を造りたい」そんな夢を抱き、造り始めたのが『胡蝶の夢』になります。
原材料には当時の最高のものを厳選しました。原料の麦は国産二条麦、麹は清酒麹として使用している黄麹、仕込み水には地元鈴鹿川の伏流水を使用。そして、最も力を入れたのが、焼酎の味を左右するともいえる「仕込み作業」になります。一度に大量の仕込みを行うことは決してせず、小さいタンクで発酵具合を常に見ながら、じっくりと人の手で育む。その繰り返しの毎日でした。「美味い酒を造るために必要なところには、しっかりと人の手を入れる。」と清水氏は語る。これはもう蔵人の長年の経験と五感が判断する微妙な感覚だそうです。
『胡蝶の夢』の樫樽とタンクで30年貯蔵しています。

《樫樽貯蔵の特徴》
樫樽の色が焼酎に移り、神秘的な琥珀色へと変化します。また、樫樽特有のバニラの甘い香りが移ります。樽から染み出す香りと、樽の隙間から出入りする空気により焼酎が呼吸をし、まろやかな味わいへと成熟していくのです。しかし、長い間貯蔵をさせすぎると、個性が強すぎる焼酎になる恐れがあるため、最初に樫樽貯蔵をし、風味の基礎を作ります。
《タンク貯蔵の特徴》
樫樽貯蔵により加えられた香り・味わいを最大限活かすために、タンク貯蔵をしています。タンク貯蔵は他の貯蔵法よりも香りの変化が少なく、焼酎の質を安定させることができるため、この貯蔵法を選びました。熟成速度は甕や樽に劣りますが、長い間熟成させると、じっくりと味に落ち着きが出て、深みが増し、まろやかでバランスの良い味わいになるのです。
この二つの貯蔵法を使うことで、今までにない香りと深い味わいの焼酎が誕生しています。人生で二度と出会えないと言っても過言ではありません。